― 混迷期に求められるビジネスモデルとは ―
○日時:令和3年2月24日(水)
16:00~18:00
○会場:オンライン開催
○講演者:久米繊維工業 株式会社 取締役相談役 久米 信行 氏
○主催:株式会社さがみはら産業創造センター(SIC)/
株式会社きらぼし銀行
○後援:相模原市/相模原商工会議所/
(公財)相模原市産業振興財団/町田市/
町田商工会議所
○出席者数:67名
第21回SIC経営者セミナーは、初めてオンラインでの開催になりました。
大勢の方のお申し込みをいただき、開催当日は67名の参加となりました。
SICの橋元社長の開会挨拶の後、セミナーを開始しました。
講演では、久米繊維工業株式会社 取締役相談役 久米信行様より、ご自身の体験も織り込んでお話をいただきました。
コロナウィルスが世界中に蔓延する中で、オンライン会議やテレワークが多くの企業で導入されており、真の働き方改革が求められています。これまではプロセス重視でしたが、今後はアウトプットで評価される時代になりました。また、フェイスブックなどのSNSを活用することにより、地域産業おこしには好機が到来すると予想されています。
墨田区の繊維業を営む久米繊維工業株式会社は、国産Tシャツメーカーの先駆けで、「色丸首」としてTシャツの認知度を高めた会社でした。久米繊維工業株式会社の2代目の息子として生まれましたが、大学卒業後は家業ではなく、創業ベンチャーのゲーム会社や大手証券会社を経て、30年ほど前に、三代目として社長に就任しました。
就任当時は、価格の安い海外製品の影響で、国内の繊維産業は壊滅的な状態でした。そんな中、中小企業としては、いち早く販売サイトを立ち上げ、ITの活用により賞を受賞し、往年の「色丸首」を現代の技術で再創造し販売もしました。墨田区にゆかりのある「葛飾北斎」のTシャツでは、国内はもとより海外からの反響も大きく、墨田区の街おこしにつながり、活躍の場も、大学の講師、観光協会の設立、オーケストラの役員など多岐に渡っていきました。
コロナウィルスの影響で、日本も世界も変わり、生活者の意識もメディアも変わるので、20世紀型の固定概念を捨てる必要があります。個人主義から、よりコミュニティ重視に、経済至上主義から、よりソーシャルな経済に変わっていくでしょう。また、AI時代では、仕事と所得の構造も変わり、「ライスワーク(お金を稼ぐ仕事)」と「ライフワーク(お金を使ってもしたい仕事)」の組み合わせになっていくでしょう。
自社のTシャツを事例として、海外製品との厳しい競争環境のなか、3つの品質で差別化を図っています。①機能品質について、口コミやネットで広がるように神話的商品やプレミアム商品があれば、普及品を安売りする必要はありません。久米繊維工業では、肌ざわりに拘った1万1千円の「色丸首」を復刻し、メディア等で取り上げられました。
②環境品質については、オーガニックコットンに拘り、③文化品質については、歌舞伎や日本酒の蔵元、そして、地元の「葛飾北斎」とのコラボレーションを行うとともに、その活動が、地元との関係性がより深まり、墨田区「勝手に観光協会」の活動につながっていきました。
最後に、久米様より、著書のタイトルから、「すぐやる→やりぬく→認められる」について説明があり、『最後までやり抜くことが重要である』、また、『Withコロナかつテレワーク時代においては、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の基礎力を極めることが、新社会人に求められており、「働くように遊ぶ人、遊ぶように働く人が21世紀型仕事人」である』と提言されました。
質疑応答では、ブログやフェイスブックなどのSNSの利活用についての質問が多く、久米様は、講演の途中に寄せられた質問にお答えしながら講演を行われ、予定していた2時間をたっぷりと使った興味が尽きない講演となりました。