かわらばん

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かわらばん地域版79号 2022年7月

サメス・クレムリン株式会社
   塗装自動化を後押しする 相模原ロボティック塗装ラボ
 フランスに本社を置くグローバルな総合塗装機器メーカーのサメス・クレムリン株式会社でオートモーティブ・キーアカウント・ディレクターを務める丹野栄一氏にお話を伺いました。

 サメス・クレムリン社は、100年近い歴史を持つ塗装機器メーカーとして、世界第3位の規模を誇っています。SICには、「相模原ロボティック塗装ラボ」として、令和3年(2021年)1月より、SIC-1 Startup Lab. に入居しています。

 工業塗装業界では、環境負荷軽減や作業者の高齢化に伴う人手不足への対応が大きな課題となっています。そこで同社では、これらの課題解決に資する塗装機や塗装システムの提案に力を入れています。

 まず、環境負荷軽減のポイントとなるのが「塗着効率」です。塗着効率の高い塗装機の導入は、VOC(揮発性有機化合物)削減にも寄与し、汚れに対するメンテナンス性向上にもつながります。同社の製品は、①エアスプレー、②エアレス、③エアミックス、④粉体、⑤静電、⑥高粘度の6つの製品群によって構成されています。どの塗装機も、他社製品に比べて塗料ロスが少ない塗着効率の高さが特長です。環境意識の高い欧州市場で培われてきた同社の技術は、日本国内でも高く評価されています。

 また、人手不足解消に関しては、「塗装自動化」による生産性向上に期待が集まっています。相模原ロボティック塗装ラボでは、産業用ロボットを活用した無人化ロボティック塗装システムの導入を支援しています。従来の塗装機によるロボティック化では塗り切れなかったものも、塗着効率の高い塗装機でタッチアップもなく塗り切ることが可能になります。少量多品種の塗装を手掛ける企業には、ティーチングのノウハウも提供するなど、中小企業にとっても心強い万全のサポート体制を構築しています。

 同ラボでは、小型非静電ベル塗装機「ナノベル801」や二重霧化塗装機「エアミックス」などを用いたデモンストレーションと実機テストが可能な環境が整備されています。これらの塗装機は、平面における塗着効率の高さだけではなく、奥への入り込みの良さなどにより、凹部への効率的な塗装が可能です。短いタクトでも、少量多品種でも、ティーチング方法をアドバイスし、補正なしで塗り切ることができます。

 非静電の「ナノベル801」は、高電圧を使わずに遠心力を利用した微粒化技術のみで塗装する技術で、安全かつ簡単な取付・操作で生産性の向上が期待できます。それだけで、従来のエアスプレーガンと比較して、塗料消費量を最大で30%も大幅に節約できます。また、「エアミックス」は、こちらも非静電でありながら、最大86%の高塗着効率を実現させています。さらに、ミスト飛散が少なく、塗装ブースやフィルター清掃の手間も減らせます。このように、同社では、品質や効率性だけでなく、メンテナンス性も重視しており、ランニングコスト削減につながる提案にも取り組んでいます。

 サメス・クレムリン社では、欧州発の独自技術で、塗装に関する企業の課題解決と環境保護の双方に貢献していきます。

サメス・クレムリン株式会社
SIC-1 Startup Lab. 1305 号室
https://www.sames-kremlin.com/japan/jp/
ナノベル801
エアミックス