かわらばん

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かわらばん地域版64号 2019年11月

株式会社オーエイ
   「一貫生産体制と地域密着」で社会に貢献
 金属製品の製作・組立・梱包及び焼付塗装などを手掛ける株式会社オーエイの久保誠代表取締役社長を相模原市中央区田名の第1工場に訪ねました。

 同社は1976年、久保誠社長の実父である久保忠男氏によって法人設立され、現在44期目を迎えている。住宅設備メーカーの協力工場としてレンジフードなどの製作を行う「桜栄産業有限会社」として設立された。忠男氏が鹿児島県出身であったことから「桜島」に因んでつけたのが社名の由来だ。

 設立後、精密板金加工を主軸とした事業を展開し、1986年には焼付塗装も開始するなど業容を拡大。1991年には株式会社オーエイに社名・組織変更した。現在では、金属製品の「設計・板金加工・溶接・塗装印刷・組立・梱包」までの一貫生産体制を構築、産業機械・車両・検査測定機器・ロボット関連など幅広く手掛けている。「誠実」と「創造」を基本理念とし、地域密着型の経営方針のもと、お客様に「信頼される技術」「安心される品質」「満足されるサービス」の提供により、相模原を中心に100社以上の取引先を有している。

 そんな株式会社オーエイを率いる久保誠社長は、3人兄姉の末っ子で相模原生まれの相模原育ち。清新小学校・清新中学校を経て厚木高等学校へ進学。小学校から高校まで吹奏楽部に所属し、楽器は“ホルン”を担当したそうだ。小学生の時、同時入部の仲間と一斉に楽器を選ぶ際、出遅れたため“ホルン”しか残っておらず、仕方なくホルン担当になったのだとか。高校時代は全日本吹奏楽コンクール(高校野球で言えば甲子園出場に匹敵する全国大会)に出場するほどのハイレベル。大学は明治大学経営学部に進学、一転して麻雀やゲームに明け暮れる日々を過ごす。大学卒業後は富士通株式会社に入社、SE(システム・エンジニア)として7年間勤務した後、1991年30歳の時に株式会社オーエイに入社した。こうしたSEの経験を活かし社内の生産管理システムなどは自社でプログラムし管理している。また、社長が外出中でもスマホ画面から会社の様子がリアルタイムで把握でき、社員からの質問・相談はもちろん緊急性ある判断にもスピーディーに対応できる仕組みも構築している。そんな久保誠社長が忠男氏から事業承継したのは2001年。二代目社長として、さらなる企業体質強化に向けて「ISO9001、ISO14001」の取得をはじめ、2003年に第2工場、2010年に第3工場を新設。現在、第1工場では精密板金加工と営業部門、第2工場では焼付塗装(紛体・溶剤)・シルク印刷、第3工場では溶接組立を行っている。同時にAMADA製ファイバーレーザー複合マシンや向洋技研製テーブルスポット溶接機をはじめとする機能性優れた設備導入を行うなど基本理念の実現と一貫生産体制のさらなる増強に積極的に取り組んできた。「鉄の板に命を吹き込む」をスローガンに短納期・低コスト対応の実現と試作から量産・多品種小ロットなど様々な顧客要望にも素早く対応できる“一環生産体制”は株式会社オーエイの大きな強みだ。

 現在「さがみはらロボットビジネス協議会」に参画し、相模原市が重点産業施策とする産業用ロボット関連事業の一翼を担うなど地域経済の発展にも貢献している。一方、社員を対象にした国家技能資格者の養成をはじめ、人材育成にも熱心な久保誠社長。「自立&自律」した社員を育てる目的で、2004年から産学連携で“カイゼン”活動に取り組んできた。青山学院大学の松本教授が指導するIE(インダストリアル・エンジニアリング)という手法を用いたもの。人が行う作業方法や作業時間・細かい動作などの様々な作業をいかに分析するかという手法。“人がIEを通して「働く力・考える力」を身に付けることで、夢を実現し、幸せになる”というものだ。このカイゼン活動の励行により、社員が自ら考え、数多くのカイゼン提案が出されるなど、「自立&自律」した社員の育成に繋がっていると久保誠社長は言う。

 そんな久保誠社長のプライベートは多彩で、経営者として育ててくれた青工研(相模原市青年工業経営研究会)のメンバーを中心とした、気の合う素晴らしい仲間と共にウォーキング部・麻雀部・囲碁部・アニソンカラオケ部などを結成して活動している。そのほか、愛車は6速ミッションのラリー車で、その上本格的なカートレースを平塚や御殿場のレース場で月1回程度行うなど大の車好きでもある。最近では健康増進のためにゴルフを復活したそうだが、朝練のやり過ぎでひどい「ひじ痛」を起こしてしまったとのこと。

 地域貢献のため清水原工業団地協同組合の理事長や業界発展のために板金工業会なの役員などを長年務める久保誠社長は、今後50周年に向けて、「ここ相模原にはファブレスやベンチャーも多い。そうした事業者の製造部門を担当する会社として完成品が造れるなど、一括して引き受けられる会社があれば喜ばれると思う。引き続き、QCDのみならず、今まで以上にお客さまにとって身近で使い勝手の良い“便利な会社=コンビニエンス企業”を目指していきたい」と想いを語る。3つの工場に充実した設備、ITを駆使した経営管理、高い技能を持つ優秀な社員。そこに幅広い人的ネットワークを持つ久保誠社長がいる。近々に組立工場(第4工場)を稼働させる株式会社オーエイ。一貫生産体制のさらなる進化と地域密着型のきめ細かいサービスで、これからも地域社会の発展と業界の発展に大きく貢献していくことだろう。

代表取締役 久保 誠(くぼ まこと)
所在地:神奈川県相模原市中央区田名3039-16
従業員数:47 名
資本金:1千万円
事業内容:■筐体、及び部品の製作(板金加工、金属塗装)・組立・梱包
     ■金属製品の焼付塗装(粉体・溶剤)、シルク印刷
     ■その他板金■試作■三次元CAD 設計 等
URL: http://oei.co.jp
久保社長