かわらばん

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かわらばん地域版58号 2018年11月

株式会社旭商会
   環境企業として 人と地球の未来を守る
 株式会社旭商会(代表取締役:根本敏子氏)は、「リサイクル再資源化事業」を基本事業の核とし、「収集運搬事業」「清掃・メンテナンスサービス事業」「不要機器類資源化事業」「トナー関連物リサイクル事業」の5つの事業を柱とする環境イノベーション&ソリューション企業だ。核事業となる「リサイクル再資源化事業」では、可燃性廃棄物を処理する焼却設備、汚泥を処理する乾燥設備、樹脂基盤等の破砕・圧縮設備を連動させ、エネルギーの再利用を行うとともに廃棄物の成分や性状等を自社分析し、独自の処理・加工技術を基に可能な限り資源化リサイクルを行うことで環境保全に大いに貢献している。第1エコプラザではOA機器をはじめ各種産業関連機器や廃棄製品等の不要機器類を「手作業」により解体分析した後、破砕・粉砕及び分離の機械加工を施し付加価値の高い再資源化とゼロエミッションを実現している。ここではベースメタルや貴金属、レアメタル、樹脂の原材料としてリサイクルされ、二次廃棄物を発生させない仕組だ。同時に不要機器・製品類の機能やデータの破壊を行い、不正利用も防止している。第2エコプラザでは廃棄されたトナーカートリッジ・トナーボトルなどのトナー製品を自社オリジナルの防
爆型分離システムにより安全に分離処理している。収集運搬事業及び清掃・メンテナンスサービス事業では、ダンプ車・バキューム車・クレーン車・高圧洗浄車・大型ブロアダンバー車など多種多様な特殊車両(ONx・PM適合)を50台以上保有し、排水処理場清掃、沈殿池清掃などにも対応、官公庁をはじめ大手メーカーなどを主な取引先としている。

 同社は、1967年に根本忠次郎氏(敏子氏の義父)により「非鉄金属の資源化リサイクル事業会社」として創業された。戦後の高度経済成長期に産業が大きく発展成長していく中、一方では四大公害病をはじめとする環境汚染が深刻な状況となっていた。小学校の朝礼や体育の授業中、光化学スモッグの影響で倒れてしまう子どもがいた時代である。この公害や環境汚染という極めて重要な社会的問題に対して、忠次郎氏は日本の将来を見据え、いち早くソリューション事業に取り組まれた。折しも公害対策基本法(昭和42年法律132号)が制定された年である。忠次郎氏は1970年に「有限会社旭商会」を設立、神奈川県産業廃棄物収集運搬・処分(中間処分)業の許可を取得して事業を本格的にスタートさせた。

 1976年には忠次郎氏の長男であり敏子氏の夫である忠幸氏が代表取締役に就任、翌年には相模原市下九沢に本社工場が完成し、汚泥を中心とした中間処理施設(焼却・乾燥)の操業を開始。民間工場の排水処理・下水道管等の清掃メンテナンス事業、感染性廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬及び処分事業などへ次々と事業を拡充していった。そんな矢先、忠幸氏は大病を患い、その後の経営を敏子氏に託し享年48歳の若さで他界された。いつも凛として明るい敏子氏だが、当時のことを思い出すと今でも目頭が熱くなると言う。その敏子氏が三代目代表取締役に就任したのは1998年、二人の愛娘がまだ中学生の頃。突然の事業承継で、会社経営と子育てを両立させるのは並大抵のことではなかったと察するが、気丈にも創業者である義父と夫の環境保全に対する揺るぎない意志を受け継ぎ、独自の環境理念を樹立した。特筆すべきは、同社が自社利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任を持ち、あらゆるステークホルダーからの要求に対して適切に対応し責任を果たす「CSR」に、全社一丸となって取り組んでいることだ。こうした取り組みは「CSR報告書」(社内版)に「トップインタビュー」をはじめ「CSRと基本事業」、「経営プラン」「CSRマネジメント」などに具体的に示されている。その他国家資格を有す環境計量士の高度な分析技術による排ガスの煤塵(ばいじん)やダイオキシン類等の測定結果が表示され、安全性や信頼性がひと目で分かるようになっている。特に、今年度は分析室の機能強化プロジェクトを立ち上げ、分析機器の新規導入・入れ替えを行い、計量証明事業の登録を行い、環境分析分野の充実を図っている。さらにI SO(14001)の取得とともに社内教育やコンプライアンスも徹底している。そのような中、同社では「フィードバック改善」活動として、各事業部門における環境・安全衛生・業務上の問題改善に社員が積極的に取り組んでいる。こうした社員たちの主体的な取り組みが当社の“最大の強み”だと根本社長は言う。その言葉の奥には、社員への感謝の気持ちと常に社員とその家族を大事に考えている根本社長の心中がうかがえる。ちなみに同社では油などで汚れた作業着を会社側で洗濯している。これは家族(奥様)への負担を少しでも軽減したいという根本社長の経験によるもので、女性経営者ならではの視点だ。

 創業以来「和」を企業理念とする同社は、ステークホルダーとの相互理解を深めることを目的にリサイクル施設(自社公開)の見学会を実施している。また、全社一丸となって不法投棄防止撲滅に関するキャンペーンに参画すると共に相模原市(SI C)が実施している「さがみはら子どもアントレプレナー体験事業」にも毎年協賛するなど地域への貢献活動や地域とのコミュニケーションにも積極的に取り組んでいる。法人設立50周年に向けて「私たちの業務そのものが環境につながっているからこそ、倫理的な意識を十分に持ち、社内はもちろんステークホルダーの皆さまや地域住民の方々にとっても、透明性のある会社でありたい」と熱く語る根本社長。独自の環境理念に基づき「未来の地球未来の子どもたちを守るために」今なすべきことは何かを自問自答し試行錯誤を繰り返しながら、常に前進を続けている根本社長と社員の皆さんに心から感謝とエールを贈りたい。
根本 敏子社長