かわらばん

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かわらばん入居版97号 2012年6月

証言で綴るSICの歴史
   独立行政法人中小企業基盤整備機構 関東支部 企画調整部 企画調整課 佐本 耕平 氏
 この寄稿のお話をいただきまして、振り返ってみますと、当時3年間ほどお世話になった出向先のSICから今の職場に戻ってはや8年が経ったのかと感慨深く、しみじみと、そしてとても懐かしく感じています。

 私の出向元の中小企業基盤整備機構(当時地域公団)では、インキュベーション事業を運営していく人材の育成に取組もうとしており、私はOJTをかねてSICで働かせていただくことになりました。2001年12月でした。ちょうどSIC-2を建設中の寒い日だったことを覚えています。

 当時の社長、企画部長からは、ベンチャーを支援するこの組織(SIC)もまた、入居企業と同様設立間もないベンチャー企業であり、チャレンジ精神をもって挑まなければいけない、また、企業の支援をする会社が赤字であっていいはずがないと、常々叱咤を受け、相模原市役所や金融機関からの出向者の方にご指導いただき、右も左も分からない中で働いていました。

 当時は、SICとしての柱となる事業をいかにつくっていくかという時期であり、いくつもの企画をトライ&エラーを重ね事業化していこうとするまさに創成期でした。現在もSICの事業として残る、子どもアントレプレナーシップ事業や、ヒューマンデザイン開発支援事業、SIC経営塾等は、当時立ち上げ今も残る事業ですが、逆に陽の目を見ずに消えていった(実現しなかった)事業も多々あったと思います。

 入居企業や地域の企業のお手伝いをする立場のSICも、創成期の苦しい時期を乗り越え今も継続して精力的に活動できているのは、当時入居企業や地域の方に助けられ、また学び、入居企業の皆様それぞれが抱えてらした創成期の苦しみを目の当たりにしてきたからではないかと感じますし、当時のスタッフのモチベーションになっていたのではないかと思います。SICの多くのスタッフはこうした自身のベンチャー企業としての経験をもとに、今も多くの企業の支援活動をされており、このような深い想いのたっぷりつまった濃密な空間を、これからも企業の皆様と共有し、企業の支援活動を変わらず行っていかれるのだと思います。

 SICの企業理念である、「相模原の大地に新しい風を起こし産業の息吹を育み、新しいビジネスの創造を目指します。」は今後も脈々と受け継がれ、日本のベンチャー支援のフラグシップとして、多くの企業の皆様の夢をかなえる会社になられるべく発展していただきたいと思いますし、また、SICに入居され、卒業された企業が発展され、それぞれの夢を実現されることを切に願っております。
2003年4月撮影