かわらばん

かわらばん

    
かわらばん入居版62号 2009年6月

青山学院大学 Aoyama Gakuin University
   青山学院大学 社会情報学部 社会情報学部長 魚住 清彦氏
文理の枠を超えた思考力で諸問題を解決する人材を育成

 2003年4月に青山学院大学相模原キャンパスが開設され、理工学部とともに相模原キャンパスに全課程を置く文理融合の社会情報学部が2008年4月に設置された。人文社会科学と情報科学の二つの領域に人間の心理などを加え、「数理的素養」
「コミュニケーション能力」「論理的思考」「情報の高度な活用」という4つの力(図1)をバランスよく養成し、真に社会で活躍できる人材を育てることを基本コンセプトとしている。経産省のいう「社会人基礎力」や文科省のいう「学士力」を確実に身につけ、真に社会で活躍できる人材、すなわち文理の枠を超えた思考力で、社会や組織の問題を解決する人材を育成することを目指している。
 現在2年目を迎えた本学部は、すでに地域と連携する活動を学生とともに展開している。その一例としては、相模原市と町田市との「さがまちコンソーシアム(相模原・町田大学地域コンソーシアム)」で3月に開催した「社会情報学講座」がある。そこでは社会情報学部の教員が「観光の今と情報」というテーマで、私たちを取り巻く観光の現状とそれを見据えた地域政策について講演し、受講した市民の方々は観光と情報との関係について学び、相模原,町田の観光スポットの発見とそれらの地域活性化への生かし方を議論した。
 また、「ICTと元気な商店街」では、いわゆる商店街の衰退が叫ばれて久しい中で、ICT(情報通信技術)の利用で活性化した実例を教員が解説し,地元相模原市の商店街の活性化を考えた。また、「ピクトグラム―社会に溢れるすてきな情報―」についての講義では、情報の伝達の手法としてピクトグラムは単なる「標識」を超えた情報の提示方法として生活の利便、安全に活用されること、言語の相違を超えたユニバーサルな情報伝達手段であることを学び、受講者は自らピクトグラム作成に挑戦した。
 図-2はさがまちコンソーシアムの企画で相模原キャンパスにて小学生を対象にして7月に行われる授業の案内パンフレットの一部である。
 学部学生2年生の「社会情報演習Ⅱ」では10人程度のグループで、企業・団体から提示されるテーマにチャレンジしている。たとえば、神奈川県経済同友会主催の「神奈川産学チャレ
ンジプログラム」や、社会情報学部で全学生に導入したiphoneの有効活用を考える「ソフトバンクモバイルとの連携プログラム」がある。また、団体の行う取り組みに直接加わる例としては、「SICアントレ・インターンシップ」、「相模原市CATV番組作り」「相模原市森林組合里山再生(図-3)」などに、それぞれの団体のご指導を受けながら学生が取り組んでいる例が挙げられる。里山再生は先に挙げた相模原市の観光を考えるプログラムの中でも観光という視点で取り上げられていたことを指摘しておきたい。

 このように、本学部は情報,社会科学の基礎を学び、情報の新しい適用の仕方を現場に出てその活用を考え実践している。今後さらに地元との連携を深めることを積極的に展開していき
たい。基礎力を鍛えた若い頭脳が新しい発想で思いがけない創造的な成果を生むことを密かに期待している。そのためには、すでに実践している例で示したような地域との連携をさらに深
める必要がある。現場のニーズを見つけ解決策を探ることが格好の教材となり、問題点の掘り起こしとその解決につながるであろう。今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

【お問い合わせ先】
 共同研究について:青山学院大学 研究支援ユニット
          課長 杉野郡二 TEL: 042-759-6056
 社会情報学部・研究科についての問合せ先:
 青山学院大学 学生支援ユニット 学務グループ
 社会情報学部・研究科担当  TEL: 042-759-6072
 http://www.aoyama.ac.jp/college/ssi/index.html