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     専門家コラム
かわらばん地域版60号 2019年3月

産業支援機関の地域連携
   企業をサポートし隊シリーズ -S I C 編- What is “Incubation” ?
1 .認定支援機関・産業支援機関とは

 中小企業の経営課題が多様化・複雑化する中で、平成24年8月に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援業務を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。国に認定された支援機関が認定経営革新等支援機関となり、通称、「認定支援機関」と言われています。

 産業支援機関とは、一般的には地域の産業振興に関する様々な業務を担う財団等の公的支援機関を指しますが、民間の士業の方やコンサルタント(法人等)も広義の産業支援機関です。また、銀行、信用金庫などの地域金融機関も、最近では、金融以外での中小企業支援にも力を入れているので、産業支援機関と言えます。

 産業支援機関の多くは、認定支援機関と認定されています。

2.相模原市の産業支援機関

 市内には、相模原商工会議所をはじめ、相模原市産業振興財団、4商工会(城山、津久井、相模湖、藤野)、さがみはら産業創造センター(SIC)があります。さらに、地域金融機関の支店も数多くあり、他の自治体と比べて、多くの産業支援機関があります。

3 .産業支援機関を「自社の外部ブレーン」として活用しよう。

①自社の相談相手になってもらう。
②自社にとって必要な情報を提供してもらう。
③自社の補助金等の申請書作成についてアドバイスをもらう。

 大企業と比べて人的資源に制限のある中小企業においては、経営者や経営幹部の方は数多くの業務に携わっており、自らが製造現場に入るなど陣頭指揮を執っていることが少なくありません。そのような状況では、国等の補助金や助成金や各種セミナー等の情報をタイムリーに取得することが難しい時もあります。特に、補助金等は申請期限が決まっていることや、また、作成すべき申請書類が複雑になっていること等、公募要領等を一読しただけでは対応が難しいのが現状です。

 そこで、自社の外部ブレーンとして、産業支援機関を活用することを勧めます。

 産業支援機関は、対象としている地域や会員の全ての企業の詳細な情報を知っているわけではありません。一方、各機関ともに事業や施策の対象先を探しています。そこで、日頃から産業支援機関へ様々な相談を通して交流し、自社の現状や課題等を伝えておくことが一つの方法です。

 現在、メールマガジン等で数多くの企業向けの情報が発信されていますが、自社の課題等を知っている産業支援機関であれば、それぞれの企業に適した有効な情報を提供してくれます。また、その後の申請等についても、積極的にアドバイスを行ってくれます。

 産業支援機関は、企業を支援し、企業の成長を通して、地域経済が活性化することを目的としています。企業の皆様からのご相談をお待ちしています。

○ 中村 浩(なかむら ひろし) ○

秋田県出身。大学卒業後、八千代信用金庫(現、きらぼし銀行)に入庫し、融資や営業を担当する。在職中に中小企業診断士を取得。2002年SICに出向派遣、その後、転籍し総務部長を務める。2011年に相模原市産業振興財団に出向し、現在、事務局長を務めている。SICでは経営塾を担当し、2019年は第18期生を迎える。
中村 浩