【入居企業プロフィール】
株式会社Quantaris Lab(クオンタリス ラボ)
代表取締役 榎本 剛司(えのもと たけし)
榎本さんは千葉県出身で、この20年ほどは八王子在住です。仕事の関係で国内外問わず出張が多く、各地でその土地ならではの食文化を楽しむことがひとつの喜びです。宮崎県でご当地グルメを味わえば、47都道府県すべてを訪れることになります。なかでも、本場アメリカで味わったプライム・グレードのビーフは、日本で流通している同等グレードのものとは一線を画す美味しさで、非常に印象に残っています。自宅周辺のウォーキングが日課で、雉の鳴き声が聞こえてくるのどかな風景が気に入っています。高尾山も近く、健康維持もあって15㎞ほどを歩くこともしばしばとのこと。
【民間企業の研究者から、スタートアップとして起業】
大学院修了後、大手分析機器メーカーに入社し、以来長年にわたり、GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用いたアプリケーション開発、製品開発、ならびに市場導入に携わりました。在職中の2006年3月には、愛媛大学大学院連合農学研究科にて博士(農学)を取得。また、2015年より千葉大学予防医学センターにて客員研究員を務め、ダイオキシンやPCBなどの環境汚染物質に関する微量化学物質の分析技術の開発および、ヒトへの毒性影響評価に関する研究に従事しました。
近年は、GC-MSを用いて試料中の化学物質を網羅的に測定し、定性および定量を行う定量的ノンターゲット分析(qNTA)手法を開発。この手法は標準物質を使用せずに定量が可能であることから、アカデミアを中心に大きな注目を集めています。
2024年からは静岡県立大学 食品栄養科学科の客員研究員として、新たに開発したqNTA法を応用し、各種化学物質が人および環境に与える影響の予測・評価を可能にする技術の確立に取り組んでいます。これらの研究開発と事業化に専念するため、勤めていた分析装置メーカーを早期退職し、2025年3月に静岡県立大学の助教である徳村先生と同大学修士の酒井さんとともに株式会社Quantaris Labを設立し、静岡大学発ベンチャー企業としての認定も受けました。
【Quantaris Labの業務内容】
Quantaris Lab社は、定量的ノンターゲット分析(qNTA)法を用いた受託分析業務および関連機器の販売・技術サポートを展開しています。“サーキュラーエコノミー(循環経済)”は、製品や資源の価値をできるだけ長く維持し、廃棄物の発生を最小限に抑える経済システムとして、近年その重要性がますます高まっています。Quantaris Labのコア技術であるqNTA法は、再生プラスチック材に含まれる不純物を標準物質なしで網羅的かつ定量的に検出できる技術であり、応用範囲は広く、特に品質保証と環境負荷低減の両立が求められる自動車分野では、今後の国際的な規制動向と連動して、さらなる市場拡大が見込まれています。
本ビジネスモデルは、サーキュラーエコノミー領域に特化したスタートアップ支援プログラム「CIRCULAR STARTUP TOKYO」第2期において、「社会インパクト創出&事業基盤構築コース」に採択され、2025年3月には成果発表を実施しました。
【これからの目標】
長年の研究が社会実装されていくことに期待を膨らませると同時に大きな責任を感じています。まずは受託分析で経営基盤を固め、関連分析機器の販売・サポートによって市場を拡大し、ビジネスとしてQuantaris Labの技術を着実に普及させることで、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。
株式会社Quantaris Lab
SIC-1 Startup Lab.1201号室
お問合せ先
enomoto@quantaris-lab.co.jp