SIC職場リーダー養成塾

SIC職場リーダー養成塾

令和2年度 結果報告

 平成19年度から始まった「SIC職場リーダー養成塾」も14期目を迎え、これまで206名が修了し、今年は16名の塾生が受講しました。職場リーダーに求められる役割とは、「部下やメンバーの特性を知り、潜在的に持つ力を最大限に引き出し、周囲を巻き込み、成果を出す」ことであると考えます。
 塾生は、様々なリーダーとの他流試合や社内実践での職場の課題解決を通じて、「リーダーとしての志や広い視野をもつ」「部下やメンバーの特性を見抜き、適した仕事を任せる」「常に問題意識を持ち、PDCAサイクルを実践する」など、職場リーダーとしての役割を果たすことに努めました。

実施日時

令和2年9月26日(土)~ 令和3年3月10日(水)

プログラム

 オリエンテーションを皮切りに、課題解決手法やコミュニケーション技法を学びながら、PDCAサイクルを用いて、各塾生が身近な課題の解決に取り組みました。

  日 程 講 義 内 容
  8月下旬~9月中旬 事前ヒアリング
第1回 9月26日(土) オリエンテーション・職場のコミュニケーション①
第2回 10月12日(月) 課題解決の枠組みを理解する
第3回 10月28日(水)

職場の問題を抽出する

第4回 11月4日(水)
第5回 11月9日(月) 職場のコミュニケーション②
第6回 11月18日(水) 職場の課題解決の枠組みを検討する
(問題把握、課題設定、目標設定、対策検討、行動計画)
第7回 12月上旬 課題解決取り組みフォロー個別指導(1回目)
第8回 12月16日(水) 職場の課題解決の枠組みを決定する
準備期間 12月中旬~下旬

社内実践準備期間

実践期間 1月~2月

社内実践期間(2ヶ月間)

第9回 2月10日(水) プレゼンテーションを学ぶ
第10回 3月10日(水) 成果発表会

参加者

定員16名に対し、16名(10社)が参加しました。

参加地域:相模原市8名、愛甲郡3名、厚木市2名、綾瀬市1名、町田市2名
過去参加企業:7社/新規参加企業:3社
役職:部長クラス4名、課長クラス1名、係長クラス4名、主任クラス以下7名

研修の様子

【第1回】

 オリエンテーションでは本リーダー塾のねらい、進め方の説明、自己・自社紹介、を行いました。自己・自社紹介では、発表するだけでなく積極的に質問を行い、塾生同士の理解を深めました。
 リーダーとしてよりよい職場環境を築くには、周囲を巻き込み動かしていくためのコミュニケーションスキルが必要であり、その基本を習得するためにコーチングを学びました。「傾聴」では、話し手、聞き手、その様子を観察する人で4人1組となり、聴き手は頷いたり相槌を打ったりしながら熱心に話し手の話を聴き、「質問」では、聴き手が話し手から具体的にどのような状況なのか話を引き出すことに取り組んでいました。

  • 自己・自社紹介

  • 傾聴・質問


【第2回〜第4回】

 冒頭では、職場の課題解決に取り組むために必要な課題設定から行動計画作成までの一連の枠組みの事例を用いて学びました。
 チームディスカッションでは、本題に入る前にファシリテーターを決めてどのように議論を進めていくか各チームで検討し、事前に上司や部下からヒアリングした塾生自身に求められているリーダーの役割や基本スキルを共通点と相違点に分けて整理し、その理由について意見を出し合い、目指すべきリーダー像について何をするべきか考えました。
 続いて、職場における塾生自身、同僚や部下が抱える複数の問題について、その影響や原因の関連を「見える化」する方法を学びました。取り上げた問題に対して「なぜ?」「なぜ?」を繰り返し、明らかになった原因や影響をポストイットに記入し、線で結んでいくことで連関図を作成しました。5W2Hも取り入れながら、「最も重要な問題点は何なのか?」「本当にそれが原因なのか?」「他にも原因があるのでは?」などとお互いに質問しながら取り組んでいました。
 最後に、他の塾生の連関図をお互いに発表しあいながら、発表者を囲んで非常に活気のある質疑応答が行われ、研修終了時間を過ぎても議論が終わりませんでした。

  • 職場の課題解決の枠組みを理解する

  • 問題・原因・影響の関連を見える化

  • 連関図を使用した発表


【第5回】

 2回目の職場のコミュニケーション研修では、より一層コミュニケーションスキルを高めるために、部下の熱意と意欲を高め,成長を促すモチベート技法を学びました。
 始まってすぐに、アイスブレイキングにてリラックスして話し合いやすい雰囲気を作るための準備運動を行いました。その後の「承認」では、4人1組となって、話し手は、聴き手に対する話題の切り出し方、聴き手の成果や行動の観察内容、成果や行動が会社や周囲にもたらす影響について組み立てて説明し、お互いに相手を褒めたり認めたり、あるいは叱ったりすることで、コミュニケーションについての理解を深めました。

  • アイスブレイキング

  • 承認


【第6回〜第8回】

 第6回~第8回では講義と個別指導が組み合わされており、設定した課題解決についてのアクションプランを塾生とコーディネータでブラッシュアップを行い「社内実践期間」にスムーズに実行できるよう作り込みました。
 まず、課題解決に取り組むに当たり、課題や目標をどのように設定するのかが非常に重要であり、講師から課題設定の切り口や数値指標について適切な考え方や留意点を学びました。
 続いて、設定した解決目標の実現に向け、最も重要な原因を推定し、具体的な対策案の立案と選択を行い、実行計画(アクションプラン)を立てました。
 対策案の検討では、費用対効果も踏まえながら優先順位の高い対策案に絞り込み、実施内容・担当者・目標値・スケジュールをもとに「いかに同僚や部下を巻き込んで実行できるのか?」を考えながら、実行計画に落とし込んでいきました。
 また、チームディスカッションを通して、日常業務ではあまり体験することのない業種や役職の異なる塾生同士で意見を出し合うことで、違った視点でのモノの見方や考え方など新たな「気づき」を得ながら、取り組むべき課題や目標を明確にし、最後に講義内で個人発表を行いました。

  • 課題・目標数値・対策案・実行計画の検討

  • 課題・目標数値・対策案・実行計画の決定

【実践期間】
 約2ケ月間にわたり、実行計画に基づいて対策案を社内で実践しました。実践期間中、成果発表会へ向けたプレゼンテーションの相談についてコーディネータより助言や指導を実施しました。


【第9回】

「プレゼンテーションを学ぶ」は第12期より新たに導入した講義です。プレゼンテーションの基本的な講義では、限られた時間の中でいかに相手に言いたいことを伝えるかを学び、さらに話し方や表情など姿勢について実践的に学ぶことが出来ました。講義終了時に同内容の発表を再度行ったところ塾生全員に良い変化が現れていました。

  • プレゼンテーションの基礎講義


【第10回】

 これまでの集大成として、塾生、講師、上司、経営者等が見守る中、約2か月間にわたり社内で取り組んだ課題解決の実践結果や自己分析によるリーダーシップ力の変化、今後の行動計画を発表しました。
 発表者に対して、塾生からの質問だけでなく、発表者の上司や経営者を問わず、忌憚のない意見や評価もあり、非常に有意義な質疑応答になりました。
 成果発表終了後に講師からの講評を行い、最後に塾長より修了証が授与されました。

  • 成果発表

  • 修了証授与


アンケート結果

 本リーダー塾では、塾生 16名に対して、「研修満足度アンケート」及び「自己診断アンケート」を実施しました。
 まず、第10回の成果発表会終了後に実施しました「研修満足度アンケート」の結果は、多くの塾生から5段階評価で「5(非常に満足)」や「4(かなり満足)」との回答がありました。その理由として、「チームディスカッション」や「プログラム内容や講義内容」、「講師やスタッフの教え方や対応」に対して、満足度が高かったことがわかりました。

【アンケートコメント抜粋】

○チームディスカッション
 ・業種の異なる人との意見交換の場になり参考になった。
 ・他人の意見を聞く機会は少ないので有意義だった。
○プログラム内容
 ・自分に足りないものが学べた。
 ・コミュニケーション、プレゼンの講義もためになった。
○事務局の対応
 ・細かい話まで聞いてくれ、助かった。
 ・メール等丁寧な対応に感謝している。
○講師の教え方
 ・色々アドバイスをもらえ、仕事に活かしやすかった。
 ・簡潔、丁寧でわかりやすかった。
○リーダー塾で学んだこと
 ・職場リーダーとしての自覚や責任感を持つようになった。
 ・周りを巻き込み行動計画を立てながら課題を達成する流れを作ること。
 ・人との接し方やコーチング、コミュニケーションの実践方法。
 ・他社の方との交流の中で視野を広げることができた。

 また、「自己診断アンケート」結果について、受講前(事前ヒアリング期間)では「社内外の若手リーダーとの交流を行っている」「リーダーとしての志と広い視野を持つ」「部下を大きな戦力に育てる力がある」の3つが他のリーダーシップ力の項目に比べて低い平均値となっていましたが、受講後(第9回終了後)は大きく伸びていました。

 研修に参加したことで、多くの塾生が職場リーダーとして求められるスキルを理解し、実践し、習得したことがわかりました。