かわらばん

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かわらばん地域版28号 2014年1月

株式会社ノイズ研究所
   日本のナンバーワン企業から世界のリーディングカンパニーに
 株式会社ノイズ研究所の藤垣正純社長を相模原市千代田にある本社工場に訪ねました。ノイズ研究所はコンピュータ、自動車、家電などを制御しているCPUが外部の電気的な雑音=ノイズによってどのような影響を受けるかを評価するための装置(ノイズ試験器や測定器)を開発製造している。あまり知られていないが、自動車や家電製品は研究開発や生産の段階でノイズ試験器を使ってノイズを発生させ、その影響で製品に誤作動が生じないか検査されている。

 同社の顧客はコンピュータ、電子部品、産業用機器、自動車、家電を製造している国内外のメーカーなど多岐にわたる。設立当初の製品は大型コンピュータメーカー向けだったそうだ。1970年代、世界のコンピュータ業界の巨人IBMに負けじと日立、三菱、日本電気、東芝、沖電気、富士通などの大手電機メーカーが国産大型コンピュータの開発にしのぎを削っていた時代だ。その後マイクロコンピュータの普及と共に家電や産業用機器へと市場を広げ、近年はコンピュータによる制御が著しく進んでいる自動車メーカーやその関連企業も主要な顧客となっている。

 納入先は世界47か国、5,000社以上、国内のシェアは約60%に達している。海外は韓国、台湾、中国などアジア地域が中心で同社売上の約25%を占めている。競合は国内にはほとんど無く、専らスイス、ドイツなどの海外企業。

 同社は旧電電公社武蔵野研究所の研究者だった初代社長が1975年に三鷹市で創業。藤垣社長は創業期からのメンバーであり1991年に四代目の社長に就いている。

 藤垣社長の経歴は面白く、大学は文学部日本文学科で最初の職業は繊維関係の業界紙記者だったそうだ。そして、東芝系のモーター商社の営業職を経て、27才の時、創業間もないノイズ研究所に入社している。入社から38年、社長になってから22年。社長就任直後には主要メンバーがごっそり抜けて競合会社を立ち上げたり、労働争議やバブル崩壊、リーマンショックなど何度もの危機を経験したが専門的な知識と高い技術力を持つ社員と共にこれを乗り越え、この分野における日本のナンバーワン企業として着実な歩みを続けている。

 今後の成長に向け二つのことを考えている。一つ目がアジアを中心とした海外市場の開拓。製造業の海外展開に伴い国内市場(表面からつづく)は縮小の一途であり、さらなる成長を目指すには海外市場を取り込むことが不可欠となる。そのためには高い品質を保ちつつ中国製にも負けない低価格を実現しなければならず、いろいろな試行錯誤が続けられている。二つ目がノイズ試験の自動化への取り組み。現在の装置はノイズを発生させる装置であり、ノイズ試験機器の操作と影響評価は顧客のスタッフが付いて行っている。将来はノイズの発生から影響評価までを技術者が付いていなくても自動的に行えるシステム装置の開発を目指している。これが実現すれば飛躍的な成長を遂げることになるだろう。
 相模原から世界のリーディングカンパニーが誕生する日は近い。

株式会社ノイズ研究所
代表取締役社長 藤垣 正純
所在地 :相模原市中央区千代田1-4-4
従業員数:95名 資本金:9,500万円
売上高 :19億円(平成24年度実績)
事業内容:EMC試験にかかわる各種試験器の開発・販売、修理・校正や受託試験サイトの運営など、試験器をトータルでお使いいただく方法を提案