かわらばん

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かわらばん地域版8号 2010年8月

株式会社ジャパンセル
   国際的な競争の中で攻めに転じる時が来た
 精密光学ガラス部品の製造を手がける株式会社ジャパンセルの深澤篤社長を、まちだテクノパークにある本社工場に訪ねました。35歳のさわやかイケメン社長です。社員も平均年齢30代前半と若い。
 深澤社長は東海大学で海洋土木を学び、横浜の土木会社に就職。本牧埠頭の埋め立て工事や橋脚の土台づくりの現場監督として社会人生活をスタートしている。そして、1999年に父親が創業者であるジャパンセルに入社。取引先での修行期間を経て、製造現場、品質管理、営業、そして専務取締役と経験を積み、2009年に社長に就任している。入社から11年、専務も務めたが、社長業はまったく別世界と感じている。成功も、失敗もすべて自分の判断の結果。誰にも言い訳できない重い責任を感じる。
 「社長としてうれしかったことは」という問いには、昨年秋から取組んでいる「カイゼン活動」の必要性に従業員が気づきはじめたこと」という答え。従業員の気づきや成長が何よりの喜びなのだろう。
 ジャパンセルのコア技術は「オプティカル・コンタクト」と呼ばれるガラスの接着技術。ガラスの接合表面を凹凸のまったく無い状態に研磨し、お互いの隙間を無くすことでガラス同士を一体化させる技術だ。研磨、洗浄、加熱、接合とそれぞれの工程に長年培ったノウハウが詰まっている。 
 事業の柱はセルとレンズ。血液や尿の分析機器に組み込まれる「光学分析用セル」は、長年にわたり同社の主力製品。もう一つは液晶パネルの露光装置に使われるインテグレータレンズ。リーマンショックで激減した売上も徐々に回復しつつある。
 社長の夢は「部品加工からメーカーへの脱皮」。黙っていても注文がくる時代は去り、猛烈な国際的な競争にさらされている。部品加工業の限界と難しさを感じているという。光学分析用セルの技術をベースに医療や環境の分析機器を開発したいと考えている。
 また、まちだテクノパークの仲間と道路工事などで使うLED投光機の開発にも取組んでいる。
 そして、もう一つの夢はドイツ。精密光学ガラスの先進国ドイツへの進出を夢見ている。

(SICスタッフ 佐藤より)
 ご先祖様は、宝石商を営んでいたことをお聞きし、宝石加工で培われた精密加工・研磨技術や精神は、現業に脈々と受け継がれていると感じます。当社の強みは、顧客のニーズを的確に迅速に捉えて、技術的に高いハードルをクリアし、具体的な形として提案できることにあります。深澤社長のもと、全社一丸となって柔軟な発想を大切にしながら強みを活かし、更なる飛躍を目指し日々活動しています。

株式会社ジャパンセル  代表取締役社長 深澤 篤
所在地:東京都町田市小山ヶ丘二丁目2-5-11
資本金:3千5百万円 年商:5億3千万円
創 業:1982年12月15日 従業員:45名
事業内容:精密光学ガラス加工、精密ガラス部品の製造および販売
URL: http://www.jpcell.co.jp/

㈱ジャパンセルの加工技術 - 石英・ガラス・サファイアの接合技術