SIC職場リーダー養成塾

SIC職場リーダー養成塾

平成26年度 結果報告

 平成19年度から始まった「SIC職場リーダー養成塾」も8年目を迎え、これまで121名が修了し、今年は19名の塾生が受講しました。
 職場リーダーに求められる役割とは、「部下やメンバーの特性を知り、潜在的に持つ力を最大限に引き出し、周囲を巻き込み、成果を出す」ことであると考えます。
 塾生は、様々なリーダーとの他流試合や社内実践での職場の課題解決を通じて、「リーダーとしての志や広い視野をもつ」「部下やメンバーの特性を見抜き、適した仕事を任せる」「常に問題意識を持ち、PDCAサイクルを実践する」など、職場リーダーとしての役割を果たすことに努めました。

◆第1回 「職場のコミュニケーション①」

  • 傾聴・質問

  • 自己・自社紹介

 オリエンテーションでは本リーダー塾のねらい、進め方の説明、自己・自社紹介、を行いました。自己・自社紹介では、発表するだけでなく積極的に質問を行い、塾生同士の理解を深めました。
 リーダーとしてよりよい職場環境を築くには、周囲を巻き込み動かしていくためのコミュニケーションスキルが必要であり、その基本を習得するためにコーチングを学びました。「傾聴」では、話し手、聞き手、その様子を観察する人で3人1組となり、聴き手は頷いたり相槌を打ったりしながら熱心に話し手の話を聴き、「質問」では、聴き手が話し手から具体的にどのような状況なのか話を引き出すことに取り組んでいました。
 また、研修終了後の懇親会を通じて、第8期生の「仲間」としてより一層交流を深めました。


第2回 「目指す職場リーダー像を明確にする」

  • 目指すリーダー像の発表

  • リーダーの役割やスキルの共通点・相違点抽出

 上司や部下が職場リーダーに期待していることをベースに、職場リーダーの役割や必要な基本スキル(技能、知識、行動様式など)を把握し、塾生自身が目指すリーダー像を明確にしました。
 チームディスカッションでは、本題に入る前にファシリテーターを決めてどのように議論を進めていくか各チームで検討しました。そして、事前に上司や部下からヒアリングした塾生自身に求められているリーダーの役割や基本スキルをポストイットに書き出し、共通点と相違点に分けて整理し、その理由について意見を出し合い、目指すべきリーダー像について何をするべきか考えました。


◆第3回~第4回 「職場の問題を抽出する」

  • 問題・原因・影響の関連を見える化(第4回)

  • 問題・原因・影響の関連を見える化(第3回)

  • 連関図を使用した発表(第4回)

  • 連関図を使用した発表(第3回)

 職場における塾生自身、同僚や部下が抱える複数の問題について、その影響や原因の関連を「見える化」する方法を学びました。
 取り上げた問題に対して「なぜ?」「なぜ?」を繰り返し、明らかになった原因や影響をポストイットに記入し、線で結んでいくことで連関図を作成しました。5W2Hも取り入れながら、「最も重要な問題点は何なのか?」「本当にそれが原因なのか?」「他にも原因があるのでは?」などとお互いに質問しながら取り組んでいました。
 そして、他の塾生の連関図をお互いに発表しあいながら、発表者を囲んで非常に活気のある質疑応答が行われ、研修終了時間を過ぎても議論が終わりませんでした。


◆第5回 「職場のコミュニケーション②」

  • 承認

  • アイスブレーキング

 より一層コミュニケーションスキルを高めるために、部下の熱意と意欲を高め,成長を促すモチベート技法を学びました。
 始まってすぐに、アイスブレーキングにてリラックスして話し合いやすい雰囲気を作るための準備運動を行いました。その後の「承認」では、3人1組となって、話し手は、聴き手に対する話題の切り出し方、聴き手の成果や行動の観察内容、成果や行動が会社や周囲にもたらす影響について組み立てて説明し、お互いに相手を褒めたり認めたり、あるいは叱ったりすることで、コミュニケーションについての理解を深めました。


◆第6回 「職場の課題解決①(課題設定、目標設定)」

  • 設定課題の発表

  • 講師から課題設定のポイント説明

 課題解決に取り組むに当たり、課題や目標をどのように設定するのかが非常に重要であり、講師から課題設定の切り口や数値指標について適切な考え方や留意点を学びました。
 チームディスカッションを通して、日常業務ではあまり体験することのない業種や役職の異なる塾生同士で意見を出し合うことで、違った視点でのモノの見方や考え方など新たな「気づき」を得ながら、取り組むべき課題や目標を明確にし、最後に個人発表を行いました。


◆第7回 「職場の課題解決②(原因推定、対策検討、実行計画)」

  • 対策案・実行計画の発表

  • 対策案の検討、絞り込み

 設定した解決目標の実現に向け、最も重要な原因を推定し、具体的な対策案の立案と選択を行い、実行計画(アクションプラン)を立てました。
 対策案の検討では、費用対効果も踏まえながら優先順位の高い対策案に絞り込み、実施内容・担当者・目標値・スケジュールをもとに「いかに同僚や部下を巻き込んで実行できるのか?」を考えながら、実行計画に落とし込んでいきました。


◆第8回 社内実践期間

 約2ケ月間にわたり、実行計画に基づいて対策案を社内で実践しました。また、コーディネータが各社を訪問し、課題解決への取り組みや成果発表会へ向けたプレゼンテーションについて助言や指導を行いました。


◆第9回 成果発表会

  • 修了証授与

  • 成果発表

 これまでの集大成として、塾生、講師、上司、経営者等が見守る中、約2か月間にわたり社内で取り組んだ課題解決の実践結果と今後の行動計画を発表しました。
 発表者に対して、塾生からの質問だけでなく、発表者の上司や経営者を問わず、忌憚のない意見や評価もあり、非常に有意義な質疑応答になりました。
 成果発表終了後に講師からの講評を行い、最後に塾長より修了証が授与されました。


アンケート結果

 本リーダー塾では、塾生19名に対して、「研修満足度アンケート」及び「自己分析アンケート」を実施しました。
 まず、第9回の研修終了後に実施しました「研修満足度アンケート」の結果は、多くの塾生から「非常に満足」との回答をいただきました。その理由として、「グループディスカッション」や「プログラム内容」、「講師の教え方」に対して、満足度が高かったことがわかりました。

【アンケートコメント抜粋】

○グループディスカッション
 ・業種や役職の異なるリーダーのさまざまな考えを聞くことができて、刺激を受けた
 ・お互いに率直な意見が言い合うことができた
○プログラム内容
 ・実戦形式のプログラムで、身に付けやすかった
 ・各回の冒頭にコミュニケーション研修があり、繰り返し学ぶことができた
○スタッフの対応
 ・課題提出の遅れにも粘り強く対応してくれた
 ・困ったときに気軽に相談に乗ってくれて、話しやすかった
○講師の教え方
 ・優しく、時には厳しく教えてもらい、ありがとうございました
 ・社内実践期間中に個別指導をしていただいたことで非常に理解が深まった
○リーダー塾で学んだこと
 ・リーダーとして求められるもの、なすべきこと
 ・周りの人を巻き込む力
・PDCAサイクルを意識したアクションプランの作成
・自ら提案することの楽しさ

 また、「自己診断アンケート」結果について、第9回の成果発表会終了後(2回目)は第1回の研修終了後(1回目)に比べて、「社内外の若手リーダーとの交流を行っている」「部下の能力を最大限に引き出す力がある」「身近な課題・悩みを解決する力がある」「自分で考え、自分で行動する」が大きく伸びていました。
 研修に参加したことで、多くの塾生が職場リーダーとして求められるスキルを理解し、実践し、習得したことがわかりました。

参加者の声

K社:M・Hさん
 顧客クレームに対する原因追究と再発防止が甘く、類似クレームが再発していた。顧客クレームに対し、真の原因追究ができておらず、再発防止も担当者レベルの心がけとなり部署内で共有されてこなかった。
 リーダー塾では、塾生とのディスカッションを通して問題を見える化に取り組むことで、今まで潜在的に理解していた課題に目を向けるようになり、その行動は徐々に部下やメンバーへと波及していった。
 その結果、顧客クレームに対して「真の原因」をとことん追求する姿勢、再発防止を全員で共有し、類似クレームの再発を防ぐ姿勢が身に付き、前の期のクレーム全てに対し「真の原因」「再発防止」を完成させ、共有することができた。さらに、一人一人の課題解決力が高まることでより安全な作業工程を構築できるようになり、顧客クレームを1%以下に減らすことができた。

H社:T・Tさん
 生産ラインでの問題は様々あるが、問題に対する意識が薄く具体的な改善活動が行われておらず、また、ライン担当者だけでは改善をするための時間も能力も足りなかった。
 リーダー塾でコミュニケーション研修にて学んだコーチングによる傾聴や質問、承認を生かして、職場の仲間と積極的に対話した。その結果、これまで気づかなかった様々な問題の原因を知ることができ、また、課題への改善案もより深く議論できるようになった。
 その結果、周囲を巻き込んだグループによる改善活動ができるようになり、決してライン担当者だけでは実現できなかった工数削減への目標数値も達成することができた。なによりコミュニケーションがとても大切で、職場に良い仲間がいることを実感できた。